今回は、東京都港区東麻布にある公設民営「港区立東麻布保育園」の入舩益夫(いりふねますお)園長に取材をしました。
港区立東麻布保育園では「子どもたちの成長を何よりも大切にする」という子ども中心の保育を追求しています。保育士が、いわゆる”先生”になるのではなく、子どもも大人も対等な立場で、思いを伝え合うことを大切にしています。
「子ども中心の保育」という言葉は、ここ数年で保育業界に広まってきていますが、港区立東麻布保育園では子どもたちと関わるときに「まず、子どもの声を聴くこと」を意識して保育を行っています。
また、入舩園長は、まだ男性が保育士資格を取得できなかった時代から、保育士として保育現場で働いている子どもや保育が大好きな方です。
「まず、子どもの声を聴く」という保育のために、どのような運営上の工夫や取り組みがあるのか具体的に取材してきましたので、ぜひお読みください。
【港区東麻布保育園の概要】
運営法人:労働者協同組合ワーカーズコープ・センター事業団
施設形態:公設民営の認可保育園(港区からの指定管理)
児童定員:160名
0歳児17名
1歳児25名
2歳児28名
3歳児30名
4歳児30名
5歳児30名
職員人数:60名
内訳は下表を参照
年齢 | 保育士最低配置基準での 必要な保育士数 | 港区立東麻布保育園の 保育士数 | 保育士配置基準の何倍? |
5歳 | 1名 | 1名 | 1倍 |
4歳 | 1名 | 2名 | 2倍 |
3歳 | 1.5名 | 3名 | 2倍 |
2歳 | 4.67名 | 5名 | 1.1倍 |
1歳 | 4.17名 | 5名 | 1.2倍 |
0歳 | 5.67名 | 5名 | 0.9倍 ※0歳児満員でないため |
合計 | 18.01名 | 21名 +フリー保育士2名 +園長・パート保育士・看護・調理等37名 | 1.3倍 (フリー保育士含む) |
このインタビューって?
保育士が安心して転職できることを目指す”このゆび保育”が、素敵な保育園におうかがいし、経営者や園長先生にじっくりインタビューします。
取材担当は、このゆび保育の阿部常充です。年間約100名の保育士の転職をサポートしています。放課後等デイサービス・児童発達支援事業所の施設長も務めています。
港区立東麻布保育園が目指す保育
このゆび保育/阿部常充
港区立東麻布保育園/入舩園長
ホームページは、実は1年かけてじっくり作り上げたもので、私たちの考えなどが盛り込まれています。
ご質問にお答えすると、港区立東麻布保育園では「子どもを、どれだけ尊重できるか?」ということを追求しています。
子どもの人権を尊重しようとする動きは最近大きくなっていますが、保育士として特に大事なことだと考えています。
このゆび保育/阿部常充
令和5年に、こども基本法が施行されてから「子どもの権利条約」「子どもの人権尊重」といった言葉が、保育業界内で一気に増えたように感じています。
貴園では、具体的にどのような取り組みを行っているのでしょうか?
港区立東麻布保育園/入舩園長
ホームページは、実は1年かけてじっくり作り上げたもので、私たちの考えなどが盛り込まれています。
ご質問にお答えすると、港区立東麻布保育園では「子どもを、どれだけ尊重できるか?」ということを追求しています。
子どもの人権を尊重しようとする動きは最近大きくなっていますが、保育士として特に大事なことだと考えています。
このゆび保育/阿部常充
令和5年に、こども基本法が施行されてから「子どもの権利条約」「子どもの人権尊重」といった言葉が、保育業界内で一気に増えたように感じています。
貴園では、具体的にどのような取り組みを行っているのでしょうか?
港区立東麻布保育園/入舩園長
子どもの権利条約については、当園においても繰り返し研修を行っていますが、権利条約の一文を読んでも、なかなかピンとこないですよね。
なので、当園では「まず、子どもの声を聴く」ということを大事にしています。これは、保育士が「先生」なのか「子どもと対等な一人の人間」なのかという保育の根本に繋がる話だと考えています。
このゆび保育/阿部常充
「まずは、子どもの声を聴く」という言葉、保育士の方にピンときそうですね。
例えば、具体的な保育のシーンで、どのような関わり方が大事になるのでしょうか?
港区立東麻布保育園/入舩園長
あくまで例えばですが、ある子どもが、集合時間に遅れたという状況にしましょう。
そのときに、もし保育士が「先生」ならば、「だめでしょ!遅れたら!」と、子どものことを評価し、一方的な関わり方をします。
もし保育士が「子どもと対等な一人の人間」であれば、「遅れたけど、何かあったの?」と、子どもの状況を理解しようとします。
このように、子どもに、教えるのか、声を聴くのかという、違いが大きくあると思います。
このゆび保育/阿部常充
とても具体的に、ありがとうございます。子どもと保育士が、会話をしているイメージが浮かびます!
そのような関わり方をするためには、保育士の気持ちのゆとりや、意識がけが大事そうですが、具体的な取り組みを教えてください。
港区立東麻布保育園/入舩園長
そのような保育をするために、職員の配置については、最低配置基準通りではかなり難しいですね。
なので、各クラスごとに最低基準以上、欲を言えば2倍くらいで配置できるように、採用計画を組んでいます。特に、24年度入職の採用については、より充実した人員体制のために行っています。
このゆび保育/阿部常充
すでに60名もの職員の方がいらっしゃるということですが、更に充実した体制ということですね!
港区立東麻布保育園/入舩園長
職員は60名いますが、当園は公設民営ということもあり、日曜・祝日・夜間の保育があります。一方で、正職員の保育士は完全週休2日制であるため、必然的に職員の数は多いです。
子どもたちとしっかり関わろうとすると、一方でそれ以外の仕事(書類作成や会議など)の時間が捻出しづらくなり、職員の多忙感がでてしまいます。
国の基準では、4,5歳児30名に保育士1名でよいですが、それでは現実的には全く難しいと思います。
このゆび保育/阿部常充
とても現場目線で、大事なことですね!
真面目な保育士の方ほど、保育もそれ以外の仕事も全力100%で頑張っていて、その結果、体調を崩してしまったという相談が本当に多いです。そういう方は「あと1名、職員がいてくれれば!」と話すことが多いので、とても納得です。
港区立東麻布保育園/入舩園長
ただ、もちろん、職員が多いだけでは、目指す保育を実現することは難しいです。
そのため、当園では「話し合いの場」を大事にしています。
子どものエピソードを語れる保育士
このゆび保育/阿部常充
とても気になるキーワードですね!なぜ「話し合い」ということを大事にしているのですか?
港区立東麻布保育園/入舩園長
私の考え方にはなりますが、このような保育をするためには、保育士本人が自分の保育を振り返り、次に向けて工夫を考えることが大事だと考えています。つまり、保育士自身が、自分の保育に”気づく”ことです。
気づきのために「職員同士の話し合い」が大事だと考えています。
園長によっては、いわゆるトップダウンで、自身の保育のやり方を明確に指示する場合ありますが、それでは職員同士が対等な関係にならず、子どもたちにもよくないと思うからです。
このゆび保育/阿部常充
貴園に関わるすべての人が、対等な関係になるようにということを考え抜かれているのですね!
話し合いの場は、どのように行われているのですか?
港区立東麻布保育園/入舩園長
会議や研修の中で、職員同士で話し合いをする時間をつくっています。
特に、工夫している点は、小さなグループを作って話し合いをするということです。当園は職員数が多いため、全員で自由に話し合うことは難しいものがあります。
ですが、数人のグループをつくれば、自分の意見を言いやすかったり、相手の話を落ち着いて聴くことができます。
このゆび保育/阿部常充
単に話し合いの場をつくるだけではなく、話しやすいような工夫もされているのですね。
例えば、どのようなテーマで話し合うのでしょうか?
港区立東麻布保育園/入舩園長
とても様々です。子どもの権利条約を解説したあとに、感じたことをグループで話し合ってもらったこともあります。
特に、保育園として大事にしたいテーマは「子どものエピソードを語る」です。
子ども中心の保育をしていくということは、子どもに主体があり、保育士はそれを支える形になります。
そうすると、保育士は、子どものことをよく観察するようになり、様々なエピソードがでてくるはずです。そのエピソードを共有し合うことで、私たちが目指す保育に近づいていくと考えています。
このゆび保育/阿部常充
「子どものエピソードを語れる保育士」ですね!
港区立東麻布保育園/入舩園長
「エピソードを語る」というのは、保育の中でも特に楽しい瞬間なのではないかと思います。どんな人も、嬉しい発見や、楽しい場面があれば、誰かにシェアしたくなりますよね!
保育園の中に、エピソードが増えるほどに、子ども中心の保育を実践できている証ですし、何よりも保育士が保育を楽しめているという素敵なことだと思っています。
なので「子どものエピソードを語ろう」を大事にしています。
港区立東麻布保育園で保育を楽しめそうな保育士とは?
このゆび保育/阿部常充
これまで「子どもの声を聴く」「子どものエピソードを語ろう」という素敵なキーワードをお聞かせ頂きました。
少し話は戻りますが、貴園では、より充実した保育体制のため、採用に重点を置いているというお話でした。
どのような保育士が、貴園で保育の仕事を楽しんでいけそうでしょうか?
港区立東麻布保育園/入舩園長
これまでの話に通ずるところが多いですが「大人同士の対話をしていける人」「自分で環境をつくっていける人」という点でしょうか。
保育士をしている方の多くは、子どもや保育が好きだと思います。一方で、より良い保育をするためには、大人同士のチームワークがとても大切です。
対話をするには、自分のいろんな思いをオープンにできることも大事だと思います。
保育で楽しいことや難しさを感じたときに「〇〇くんの、こんな姿あったんです!」とか「〇〇くんとの関わりが、難しくって。」と、言葉にできると、そこから対話が始まりますよね。
このゆび保育/阿部常充
ありがとうございます。「自分で環境をつくっていける人」という点も具体的に教えてください。
港区立東麻布保育園/入舩園長
言葉だけをみるとハードルの高さを感じてしまいそうですが、「まずは自分なりに行動してみる」という意味です。
当園は、お伝えしたようにトップダウンで指示命令が下りてくることはほとんどありません。自分のクラスの子どもをよく観察し、自分なりに子ども中心の保育をしていこうと考えて、実践していくことが大事です。
実践することで、いろんな気づきが得られて、その気づきを園内で共有し、よりよい保育に繋げていけるといいと思います。
もちろん、新卒学生や中途入社の方には、フォローはしっかり行いますが、先輩や後輩などの壁はつくらずに、どんな人も対等な立場として、一緒に保育していきたいと思っています。
このゆび保育/阿部常充
とても具体的に、ありがとうございます! その他、保育士募集にあたり、PRポイントをぜひ教えてください!
港区立東麻布保育園/入舩園長
色々とお伝えしたいことはありますが、よく誤解されがちな点を中心に3つほどお伝えさせてください。
港区なのに広い園舎と園庭
港区の保育園ですが、園舎も園庭もとても広いです!
東京の中心部は、ビル内や園庭が全くない保育園も増えていますが、当園は小学校の旧校舎を活用しているので、とにかく広いです。
園庭は、小学校のグラウンドを活用しているので、運動会や行事なども、いつもの園庭で実施できます。
しっかり完全週休2日制
日曜・祝日・延長・年末の保育がありますが、しっかり完全週休2日制です。
日曜や祝日などの利用児童数は年々減少傾向にありますが、港区の要請もあり、開園日が多い保育園です。
シフトによっては日祝の出勤もありますが、完全週休2日をしっかり確保し、年間休日は120日以上です。また、早遅番や、休日保育専門の補助スタッフも多く在籍しているので、無理なく働けるように体制を整えています。
給与と福利厚生の安心感
給与面や福利厚生もしっかり整えています。
人員配置を充実させると、給与は下がりやすいですが、当園の初任給は24万スタートと、比較的高めであると思います。また、経験手当や家族手当などもあります。経験に応じて昇給しますし、家族ができたときの生活の見通しを立てやすいようにと考えています。
超過勤務手当は100%支給しています。
港区は、保育士宿舎借り上げ社宅制度もあり、最大11.2万円までの補助があります。家賃が高いイメージありますが、この補助額であれば、一人暮らしなどもしやすいです。
また、借り上げ制度を利用しない方には、住宅手当が充実しているため、いずれにしても安心した生活を送れるような金銭的サポートがあります。
このゆび保育/阿部常充
ありがとうございます! 実際に働く保育士の目線に立ち、様々な環境を整えられているのだと感じました。
この度は取材のお時間頂き、ありがとうございました。
港区立東麻布保育園/入舩園長
ありがとうございました。一緒に、子どもたちの成長の姿を語り合える保育士の方と、ぜひ一緒に働きたいと思っています。
\\ 港区立東麻布保育園の求人に興味がある方、こちらをクリック //
港区立東麻布保育園では、このような思いに共感して、一緒に働きたいという保育士の方を募集しています!
求人詳細やご応募はこちらからお願い致します。
このゆび保育では、取材先の保育園の求人紹介もしております。
「応募前に詳しい話を聞きたい」「私にあう保育園かどうか知りたい」等の保育士の方は、それぞれに詳細情報を提供します。
詳細情報を希望する方は、公式LINEからメッセージをお願い致します!
\\ 取材先の保育園のより詳しい情報をゲット //