加配保育士 資格の有無と意外と知らない補助金の裏話

2020年6月28日

今回のこのゆび保育コラムは、加配保育士についてです。この保育コラムでは、加配保育士や、担当業務、さらには加配保育士による保育園への補助金までをまとめており、様々な角度から加配保育士を理解したい方におすすめです。

加配保育士とは

「多動性」や「自閉症」など生まれつきの発達障害などにより、他の園児と同じように保育園生活を送ることが難しい児童に対して、個別で対応する保育士のことを加配保育士と言います。同じクラス内で障がい等を抱える園児を一緒に見る場合に複数担任が業務を分担して行うこともありますが、加配保育士はクラス担任とは別に規定の保育士人数にプラスした配置されます

クラス担任と保育補助の関係のように見えますが、加配保育士は該当する園児に専属で寄り添う形で、一緒に過ごします。その為、場合によっては環境を変えて園庭や別の教室なので異なり保育プログラムを行うことも少なくありません。

加配保育士が担当する子どもたち

障がいには「身体」と「精神」の大きく2つにわかれますが、保育園は「精神」の部分で加配保育士が近年活躍をしています。身体面については入園時に保護者が子どもの身体について把握していることが多いです。一方、精神面は「ADHD・自閉症・その他の学習障がい」等、保育園への入園後に成長とともに分かることもあります。

(3歳児検診など診断される等)

その際に、当クラスに配置している保育士だけでは、十分な配慮をすることが難しいと判断した時に、年度途中から加配保育士を付けることもあります。

加配保育士を付ける為の条件

加配保育士を付ける為の明確な条件はなく、保育園の判断となります。次の2点が主な判断基準になります。

◆保護者の同意と医師の判断

子どもに対して特別な対応をするため、保護者に対して子どもの状況を確認し、保育園と保護者の双方で同意が必要にです。この時に最低限必要となるのは「医師の診断」です。医師の診断をもとに保護者が加配への同意をしなければならず、保育園側の独断による加配はできません。

◆保育園側の人員配置

医師の診断結果をもとに、保護者が保育園側に加配保育士の要望を出したとしても、配置できる人員がいなければいけません。特に、保育士不足の地域では職員の確保は難しい状況があります。また、少子化地域では運営費が十分ではないため、ゆとりある職員数を抱えられていない場合もあります。加えて、少子化地域では、自治体の予算で認められないと経営的に大きな赤字を抱えることに繋がります(後述)。

加配保育士の配置基準と補助金

加配保育士の配置基準については自治体の補助金規定が大きく関係をしています。保育園側が自費で加配保育士をつけられれば問題ありませんが、その負担は数百万レベルです(※1)。しかし、保育園は補助金で運営が成り立っているので、自治体からの補助金支援がなければ難しいというのが現実です。

※1:出費の目安:時給1,100円×8時間×20日×12ヶ月=年間200万円以上

加配保育士に関する自治体の規定は様々で、直接問い合わせをしないと明確な基準はわかりませんが、大まかな傾向は下記です。

◆一般的に共通していること

  • 1人に対して何円ではなく、単位(1学年○名ごと)あたりの上限を決めて補助金を支給
  • 実際は補助金のみでは加配保育士の給与負担は難しいため、保育園側の負担はある 

 ◆保育士不足地域の特徴

  • 原則として保育士が望ましい
  • 資格者の確保が難しい場合は、週30時間前後の勤務ができる職員の配置を条件に補助金を支給

◆少子化地域の特徴

  • 保育士資格所有者を原則として自治体の規定に基づいて補助金を支給

実際、私立保育園でも積極的に障がいの子どもを預かっていますが、職員配置の都合から公立保育園の方が割合として多く対応している自治体が多いと思われます。 

加配保育士は無資格でもよいか

東京23区内においては無資格でも補助金対象としている自治体も少なくありません。加配保育者と呼ばれています。また、公立保育園でも同様に、無資格の加配保育者の方が正規保育士と一緒に子どもを見ることがほとんどです。

なので公立・私立問わず「加配保育者としてのパート募集」という求人を見かけることが多いのです。当然理想は十分な知識を持った正職員の保育士です。しかし待機児童地域では保育士不足のため、対象園児への保育士配置は現実的に不可能です。

加配につく園児の指導案や記録は誰が書くか

原則は、その該当する年齢クラスの担任が個別指導計画ならびに反省等を記録します。1人担任などの場合は、主任やフリー保育士が行うこともあります。園の判断で連絡帳をパートの加配保育者が書くことはあるかもしれませんが、原則は有資格者が「園保管・役所提出の書類」を行う必要があります。加配園児については、今後の成長発達の為にも記録がとても重要視されており、個別指導計画と毎日の記録が必須条件です。それは園児の為だけでなく自治体からの補助金を受ける際にも必要な書類になっていることも多いです。

加配が必要な子どもは入園拒否することができるか(私立の認可保育園)

私立の認可保育園では、原則として園児を選べません。しかし例外として、自治体側が認める正当の理由があれば、受け入れをご遠慮していただくことも可能です。この言葉だけを聞くと「それはおかしいのではないか」という感情を抱く方も多いと思います。しかし受け入れ側としてもこれは苦渋の決断。「十分な保育の提供が出来なければ受け入れることが逆に子どもにとって最良な時間の提供や保護者支援にならない」という基本的な考え方に反してしまうからです。

加配対象園児を受け入れたいという想いがあっても「対象児に対する適切な支援環境」「保育者の確保」「職員の人件費」の全てが満たされなければ無責任になってしまいますし、保育中に事故でも起きれば大問題です。今の待機児童地域では残念ながら慢性的な人出不足で十分な対応は本当に難しいというのが現状です。

「他の子は受け入れてもらえたのにうちの子はNGだった」という声も耳にしますが、これも上述の受け入れ環境が影響しています。もしその保育園に加配対象の園児が1人もいなければ受け入れられたかもしれない。しかし既に複数名の加配対応をしていれば、新たに加配対象児を受け入れると在園児に対して十分な対応が難しくなり、苦渋の決断をする保育園も少なくないのです。

キャリアアップ研修に含まれた「障害児保育」

ここまで解説してきた中で、障がい児保育を行うことは決して簡単なことではなく、そして保育園側は十分な受け入れ体制が出来なければ簡単に受け入れてはいけないということはお伝えしました。

一方で障がい児保育は、保育業界でも重視される動きがあります。2017年より保育業界に導入された「保育士キャリアアップ研修」の8項目の中に「障がい児保育」の項目が含まれました。障がいを専門とする支援施設と比べると一般的な保育園では加配園児に対して決して十分とは言えない受け入れ体制かもしれませんが、障がい児に対する知識等について、業界をあげてサポートできる取り組みの一つとして期待されています。

保育士キャリアアップ研修を修了することで、保育士の皆さんの給与に国からの手当がでます。加えて、障がい児保育のような知識も学ぶことができます。まだ修了されてない方は、ぜひ検討してみて下さい。


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