主任保育士に関する基本的な保育コラム

2020年9月22日

主任保育士に関する基本的な保育コラム

現在保育園経営者たちが考えている保育業界における課題として「ミドル層の育成」を重要視していることをご存知ですか??

都市部を中心に全国的に保育士不足が深刻化していく中で、その保育士を指導ならびにより働きやすい職場環境を整える為にはこの「主任保育士」が鍵を握っていると言われています。

今回は「主任保育士」について基本的な部分にクローズアップしていきます。

目次

1.主任保育士は配置する義務もなければ就任するのに必要な条件もない

2.保育所設置基準をもとに園長と比較してみると主任保育士の位置づけがよくわかる

3.主任保育士はクラス担任を兼任してもよいのか

4.主任保育士を対象にした主任専任加算とは何なのか

5.主任保育士のキャリアアップ研修ならびにキャリアアップⅠとⅡの手当て

6.主任保育士の経験は自身のキャリアアップならびに転職にも有利になります

 

主任保育士は配置する義務もなければ就任するのに必要な条件もない

このことを現場の保育士さんはご存知でしょうか。多くの保育園では園長ならびに副園長の下に主任保育士を配置しているので、主任保育士の設置が当たり前のように感じている方も少なくないと思います。

しかし厚生労働省ならびに保育園の運営に関する基本となる「保育所設置認可等事務取扱要綱」には施設長の設置ならびにその施設長要件については明記されているのに、主任保育士については明記されていないのです。

 

保育所設置基準をもとに園長と比較してみると主任保育士の位置づけがよくわかる

上述で記載した厚生労働省ならびに保育園の運営に関する基本となる「保育所設置認可等事務取扱要綱」をもとに主任保育士と園長について比較をしてみました。

この比較表をもとに解説すると主任保育士は設置義務もなければ就任要件もありません。

なので、基本的には「保育園内部における役職」であり極論的な表現を用いれば経営者の判断で配置したい職員であれば年齢や経験を問わず誰でも就任することが出来るのです。


その為、近年はあまり見られませんが、年齢が若く、保育士経験も浅いのに経営者の一族の人間が副園長や主任保育士といった役職を独占していている保育園も中にはあります。

 

主任保育士はクラス担任を兼任してもよいのか

結論から言うと・・・「可能」です。そもそも主任保育士を配置する義務はないのですから、問題ありません。

しかし多くの“認可保育園”や“こども園“では主任保育士を配置しており、その主任保育士は極力クラス担任から外して保育園を運営しています。

また仮にクラス担任として業務をしていたとしても、組織としてはクラス担任という位置づけをしていない保育園がほとんどです。それはどうしてなのでしょうか。

 

主任保育士を対象にした主任専任加算とは何なのか

主任専任加算とは、「クラス担任(必要保育士配置基準に組み込まない)とは別に主任という独立した扱いで保育士を配置することで、保育園に対してその職員を雇用する人件費を運営費に加算して支給すること」

実はこのような運営ルールがあるのを皆さんはご存知でしょうか。正確には上述の内容以外にも要件はあるのですが、簡単に説明すると・・・

「保育園をより円滑に回す為に、国が定めた必要保育士配置基準を1名以上採用し、その職員が主任保育士として現場を統括するのであれば、その予算を国が出します」ということ。

実際には主任保育士の人件費を100%カバーすることは出来ませんが、約18~23万円前後の追加補助金を国からもらうことで、保育士をもう1名採用出来るというルールなのです。

なのでこの補助金をもらう為に、支給対象となっている認可園やこども園などでは主任保育士を配置しているのです。

※1、主任保育士専任加算は、運営する施設ならびに職員体制などの条件がある。

※2、主任保育士専任加算の補助金額は運営する保育園によって金額が異なる。

 

主任保育士のキャリアアップ研修ならびにキャリアアップⅠとⅡの手当て

保育士の処遇改善Ⅱの項目に該当する「保育士キャリアアップ研修」を2022年までに確立する為に、多くの保育士が研修に参加していると思いますが、主任保育士はこのキャリアアップ研修の8項目は全て習得しているものとみなされているのをご存知でしょうか??

実は現段階で、この保育士の処遇改善Ⅱに該当するキャリアアップ加算(副主任は40,000円の加算など)から主任保育士は対象外にされています。これは園長と主任は既に法人内で他の保育士よりも高い水準の給料もらっているからという内閣府の見解です。

しかし実際に、副主任に40,000円加算すると主任保育士を上回るor差が縮まりすぎてしまうという状況の保育園も発生しています。その為、処遇改善費Ⅰで主任保育士には法人として別加算したり処遇改善Ⅱの端数を主任保育士に回したりという対応を取っている所も少なくありません(令和2年2月末の時点ではこの対応が認められています)。

 

主任保育士の経験は自身のキャリアアップならびに転職にも有利になります

主任保育士としての経験は現在、多くの法人で注目をされています。小規模保育施設では主任保育士を配置していない。保育士が不足している地域では主任経験がなくても、園長として勤務をしているor採用する保育園もこの5年で一気に増えました。

その為、主任保育士を経験していないことで「保育現場と経営側との橋渡し的な役割を果たすことに苦しんでいる」という園長先生も増えています。

そしてこれは経営側も園長が求めている重要な役割で、どちらかに偏ってしまい保育園のバランスが崩れてしまっているという経営陣の悩みにも発展。ということは当然、そのような保育園では現場の保育士も混乱する傾向になります。

上述の理由から、近年は法人側も「主任保育士の育成 (ミドル保育士の育成) 」を重要課題と捉えており、主任保育士経験者は転職市場でも人気が高まっているのです。

また一般的にも「組織は2番手の力が大きな影響をもたらすキーマン(キーウーマン)」と言われているように、保育園において主任保育士が現場の雰囲気をコントロールするものです。どうしても園長ばかりが注目されがちですが是非、主任保育士の重要性についてももっと注目されてもらいたいですね。

※今回は認可保育園にて主任保育士を6年経験した、7年目の現役園長がコラム掲載に携わっております。

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保育記事作成:このゆび保育 編集委員