かつて、保育士は保母と呼ばれ女性の仕事として広く知られていましたが、現在は職業における男女の差は少なくなっており、男性保育士も珍しくなくなってきました。ですが、まだまだ女性と比較すると男性保育士は少ない傾向にあり、そのため情報も多くないです。今回の記事では、そんな男性保育士にスポットライトをあてて、働く環境や年収、メリット・デメリットなどを紹介していきます。ぜひ参考にしてください。
男性保育士の割合や現状
男性保育士の保育士全体に対する割合
厚生労働省によると、2020年4月に行なった調査では、男女の保育士登録者数は、女性158万3219人、男性8万2330人となっています。これは、男性保育士が保育士全体に対して約5%を占めているということです。それ以前の2015年の調査では、全体の保育士登録者数131万2241人に対して、男性の保育士登録者数が5万9018人となっており、男性保育士が占める割合は約4%でした。このことから、保育士全体における男性保育士の割合は少しずつですが増加傾向にあるといえます。ですが、現在も男女比率には大きな偏りが見られます。
男性保育士はなぜ少ないのか
さまざまな理由が考えられますが、昔は保母と呼ばれていたことから現在も保育士は女性の仕事というイメージが根強く残っていること、「保育士は薄給」といわれていることから男性保育士として働いてもすぐに離職してしまうこと、そもそも男性保育士になること自体を諦めてしまうこと、男性保育士が働くための設備(更衣室やトイレ)が整っていないことや、男性保育士を採用した実績がないために男性保育士の働くマニュアル(女児への対応をどうするか等)がないなどの理由から男性保育士の採用を見送ってしまう施設があることなどが挙げられます。
ですが、男性保育士の数は先ほど述べたように右肩上がりとなっています。それに伴い、これから徐々に保育士として働く男性の給与面、職場環境などの改善が進められるでしょう。
男性保育士の年収
男性保育士の給与水準
厚生労働省の資料によると、男性保育士の平均年収は389.2万円となっています。一方、全職種の男性の平均年収は561万円です。
このことから、男性保育士の給与水準は全職種の男性の平均年収と比較すると低い水準であることがわかります。
女性保育士と給与は異なるのか
男性保育士の平均年収は389.2万円、女性保育士の平均年収は362.1万円となっているので、わずかな差ですが男性保育士の方が高くなっています。男性保育士が女性保育士よりも給与が高い理由は、男性保育士の方が数が少ないため、高い役職に就いている男性保育士が平均を引き上げていることなどが考えられます。
男性保育士の給料アップのポイント
・現在勤めている園での昇進を目指す。
役職に就くと給与が上がるので、まずは勤務している園でのキャリアアップを目指しましょう。厚生労働省は保育士の処遇を改善するために、新しい役職を新設し、研修制度を整えました。自分のキャリアパスを明確にすることで給与アップが望めるかもしれません。
・転職をする。
キャリアアップによる昇給は施設によって差があり、仮にキャリアアップすることができたとしても昇給が見込めない場合は転職することを視野に入れてみましょう。現在、保育士は人手不足のため、良い給料で募集している保育施設も多くあります。また、病院併設の保育園など特殊な園では夜勤があり、夜勤手当をもらうことで給与アップを図るという方法もあります。
・公立保育士を目指す。
公立保育士は一般の公務員と同じように、勤続年数によって昇給する特徴があります。そのため、長く安定して働くことができるため、私立保育士と比較すると給与が高い傾向があります。
男性保育士のメリット
力仕事などが行いやすい
一般的に男性のほうが女性より筋力があります。保育園では、日々の保育で使う運動用具や園庭の整備、行事の大道具などの準備や後片づけなど、重いものを運ぶ機会や力が必要とされる場面が多いです。そんな時に男性の手があると心強い、頼りになると感じる人も多いようです。
防犯効果
男性保育士がいることは不審者対策に効果的と言われています。子どもを預ける保護者にとって、保育園の防犯面は重視するポイントのひとつです。男性保育士の存在は大きな安心材料になります。
体格や筋力を生かした遊びの提供
男性は女性と比較して体力があるので、女性保育士とはまた違った保育や遊びをすることができます。例えば、体を使ったダイナミックな遊びや、体力も力もある4・5歳の男児の遊びについていくことができる、体の大きな園児も軽々と抱き上げることができるなどです。
また、毎日の保育内容やイベントの内容を考える場面で、男性ならではの着眼点や意見やアイディアが加わることで、保育の幅が広がることもあります。
父親が相談しやすい
イクメンという言葉が一般的になってきたように、ここ数年で男性の育児参加が急速に進みました。毎日の保育園の送迎や行事に積極的に参加する父親も珍しくありません。男性保護者の中には、女性保育士ばかりで肩身の狭い思いをしている人、毎日の送迎でのコミュニケーションは平気でも、女性保育士には子どもの相談などをしにくいなどと感じている方がいるかもしれません。男性保育士は男性保護者にとって、話しやすく、頼りになる存在です。同じ男性同士、男性保護者のよい相談相手として活躍することができます。
男性保育士のデメリット
母親から不安がられてしまう
男性保育士や男性ベビーシッターによる性犯罪のニュースなどの影響で、保護者の中には保育園に男性保育士がいることに対して不安に感じてしまう方もいます。大切な我が子を思う保護者の気持ちを真摯に受け止め、安心して子どもを預けることができるように、事前に園としての男性保育士の女児への対応を明確にして保護者会などで伝えたり、日々の保育やコミュニケーションを通して、保育のプロであることや子どもたちをしっかり見守っていることを伝え、信頼してもらうことが大切です。
給与水準がサラリーマンと比較して高くない
前の章でも触れましたが、厚生労働省の資料によると、男性保育士の平均年収は389.2万円、全職種の男性の平均年収は561万円で男性保育士の方が低い傾向にあります。
ですが、保育業界では保育士の待遇が徐々に改善されてきています。保育士の低賃金は現在問題になっている保育士不足の原因のひとつとなっているため、政府も待遇改善を積極的に進めています。厚生労働省は新しい役職として、副主任保育士・専門リーダー・職務分野別リーダーを新設し、キャリアアップ研修制度を整えることでキャリアパスを描きやすくしました。役職に就くことで給与に手当がプラスされ、給与水準を上げることができます。
女性が多い職場で孤立しやすい
男性保育士は増えてきているとは言ってもまだまだ少数派です。保育園に男性保育士は1人だけという場面は多いと思います。自分だけ男性保育士で周りは全て女性保育士という環境に居心地の悪さを感じることもあるかもしれません。
女性保育士の方も男性保育士と働くことに慣れていない場合が多いので、男性保育士とどう関わっていったらいいのかわからず、壁を作られてしまうこともあるでしょう。また、女性の方が細かい気遣いができる人が多いことから、男性保育士は気が利かないと思われてしまうこともあります。一緒に働く保育士から信頼してもらうために、毎日の仕事を真面目にこなし、周りをよく見て自分から動くようにしましょう。
逆に女性保育士の中に男性保育士がいることで、女性が多い職場にありがちな派閥やいじめなどの人間関係の問題が発生しにくいこともあります。
女児の着替えなどに対応が難しい
保護者の中には男性保育士に女児の着替えやトイレの介助の対応をさせないでほしいという意見が出ることもあります。保育園の中には保護者からの意見がなくても、男性保育士の女児のおむつ替え・トイレ介助や着替えを禁止しているところや男性保育士を守るために独自のルールを決めているところもあります。特に決まりがなくても、自分自身を守るために、疑われるような行為はしない、できるだけ他の保育士がいる状況で仕事をするようにするなど工夫しておくことで安心して働くことができるでしょう。
男性保育士の転職サポート事例
Yさん(30代・主任保育士)
保育士として約10年、一つの法人で勤め上げてきた方です。将来、自分の保育園を設立することを目標に、30代は主任保育士への挑戦を決めました。
30代で、未経験の主任保育士として転職できるのか?と思う方がいるかもしれません。実際のところ、保育園の新規開所ラッシュであった2010年代後半くらいまでは、管理職の保育士が極度に不足していたため、2,30代の未経験者であっても、主任や園長としての転職が可能でした。
しかし、2020年代に入ると、新規開所ラッシュもかなり落ち着き、自治体の中には「新規開所のための費用補助はもう行いません」と決めているところもあります。ただし、企業主導型保育園などは、一般的に保育士採用に苦戦している状況が続いているため、以前のように未経験者であっても転職が可能であるケースがいま現在もあります。
その中で、企業主導型保育園の園長職や、数少ない新規設立の認可保育園の主任職を狙って転職活動をはじめました。求人としてはあるものの「未経験であれば、まず一般保育士として入職してください」という法人がほとんどであり、数社ほどの候補となりました。
それぞれの保育園に、面接・見学・1日保育体験と、じっくりステップを進めました。その中で、保育園の経営陣との最終面接で、一番ぐっと心惹かれた保育園への入職を決めました。23区内の新規設立の認可保育園であったため、給与水準も高く、借り上げ社宅制度なども利用できる条件もありました。
最後に、少しだけ宣伝をお読み下さい
最後までお読み頂き、ありがとうございます。
このゆび保育では、保育士に特化した転職サポートを行っています。
転職が多い保育業界では、きっと多くの保育士の方が「今度の保育園こそは、落ち着いて保育できますように・・・」と願っていると思います。
しかし、保育士の転職は、独特の事情(スピード勝負・タイミング命・最後は賭け!)であるため、実は転職の難易度が極めて髙い職業でもあります。
そのため保育に完全特化し、転職活動をする保育士の方が「安心して、転職が楽しみに感じられるサポート」を行っています。
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